学校がつらいこども・不登校の子どもへの対応について
- Masako Gunji
- 2022年7月29日
- 読了時間: 5分
更新日:2023年1月31日
子どもの自死が急増する夏休みと夏休み明けにかけ、命を守るため、大人にできることがたくさんあります。
「生きづらいこどもとおとなのこころといのちを支える会 aalto(アアル
ト)」保護者メンバーらと「ここから未来」の武田さち子さんが協力して、
2022年7月27日午後、文科省記者クラブで報道機関の皆さんに子どものこころといのちを守るための報道をお願いしました。
教育機会確保法(2016年成立、翌年施行)ができてからも、学校がつらい子ども、自らいのちを断つ子どもの数は毎年最多を更新し続けています。子どもの命が危なくなるピークは、1年のうち、夏休みと夏休み明けです。
aalto(アアルト)のメンバーは、当事者保護者、専門職、支援職として、生きづらい子どもと家族の支援を続けてきました。以下は、子どもをを守る取り組みとして、お伝えしている内容です。
・意識的にも無意識にも、「生きるため」に不登校になる(学校に行かない)という子どもの行動への共感が大切です。
・直接被害(学校でのいじめや叱責、体罰など)に遭わなくても、社会の不条理(人権問題、差別、ジェンダー、理不尽、カルトの跋扈など)に絶望する子が増えています。
・子どもの目線で生きづらさや登校しづらさ「行きたいのに行けない」気持ちに寄り添うことが必要です。(学校行けないなら〇〇に行って、代わりに▲▲やってというのは、さらに心身の状態を悪くする)
・学校がつらい子どもの9割超は、フリースクールにも行けません。もともとレジリエントなタイプか数年寝込んだあとの回復期には、フリースクールが合う子もいますが、ほとんどの子は、学校がつらいならフリースクール行けば良いというアドバイスに苦しみます。
・生きているだけで十分だという意識が大切です。「ちゃんと食べられて、睡眠が取れて、遊べる」ことから回復が始まります。
・週5日登校、部活で土日登校など、子どもの権利に反する過酷な状態だという社会と家族の理解が必要です。すべての子どもに週5日登校を求めるのは、子どもの権利に反します。
・天候や気圧が悪い日、大事件が発生した日は、登校できない子どもが大勢いますが、子どもを責めてはいけません。
・前日夜に「明日行く」と言っても保護者は喜んではいけません。朝にやっぱり行けなくても責めてはいけません。
・リモート在宅ワークのお父さんが一番加害性が強く、子どもを傷つけているケースが多く見られます。子どもは親の作品ではありません。
・学校がつらい原因は複雑多様でわかりにくいので子どもに尋ねても、真相はわからないことが多いです。詰問することが心身を悪化させます。
・子ども自身が不登校を予防することは困難です。自己責任論を押し付けてはいけません。
・ほとんどの子が起床困難になります。(うつ、不安症、起立性調節障害など)
・不登校を心身の健康問題として捉え、医療や心理の支援職に繋がることが必要です。
・神経発達症(発達特性)と心身の不調の併存も多く、コロナ以降は、不安症、うつ病、摂食障害が増えています。適切な医療に繋がる必要があります。
・その子にとって味方になるおとなを増やす必要があります。
・生きづらい子、学校がつらい子は、本当にやりたいことしかできない状態です。過剰適応させてはいけません。
・環境要因なのか、不安症、発達特性による影響なのかを専門医と考える必要があります。
・不安やうつな気分の*在外化、専門心理職、専門医の指導のもと、自分を客観的に見る練習が効果的なケースも多いです。
・その子本位で目標設定をしながら、慎重に*暴露(エクスポージャー)認知行動療法の専門医、専門心理職の指導のもとで不安を自分の身体に寄せ付けない練習をする方法で回復につながる子どもがたくさんいます。
・子どもの強みに注目し、子どもは悪くないという意識を持ち、絶対に子どもを責めないことが一番重要です。子ども自身が自分を客観視して、つらい気持ちになる自分とそうではない自分も存在することに気づく必要があります。
・無理やり部屋から引きずり出すなどの強制は厳禁です。
・ゲームなどのプロセス依存(特に男子)、SNSなどの関係性の依存(特に女子)の問題については、医療に繋がる必要があります。女子はライブ配信、監禁などの性売買、デジタル性暴力に吸収される被害も多発しています。https://makog.theletter.jp/posts/34ec6a00-b806-11ec-b291-fdbc15b4aa16
・在宅勤務の保護者と会わない時間が必要な子もいます。家庭以外のスペース、逃げ場、子どもシェルター的な場所を確保する必要があります。
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Colabo
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性売買からの足抜け支援・性売買当事者支援 女性人権センターKEY http://key-official.net
・生きづらい子どもたちに理解のあるひとりひとりに対応して考える医療、専門職に繋がる必要があります。
♦︎aalto(アアルト)メンバーがおすすめする団体♦︎
127回日本小児精神神経学会
不登校保護者会(SNSで繋がる親の会・保護者支援・学習会・子ども支援)2016年から活動
東京の会(東京都内、埼玉、神奈川、千葉で活動中の親の会をネットワーク化・保護者支援・学習会・子ども支援)1996年から活動
登校拒否・不登校問題全国連絡会(全国の教育学研究職による組織・保護者支援・子ども支援)1990年から活動
♦︎2022年7月27日に共同会見した武田さち子さんが所属する「ここから未来」さんについて♦︎
ここから未来は、学校事故・事件の被害者と近いため、そこで得た情報をもとに、事故・事件の再発防止に役立つ情報の収集・発信することで、子どもが安心して生きていける世の中をつくることを目指します。
武田さち子さんのインタビューから引用
もし子どもが学校に行くのを渋るなら、学校を休ませ、じっくり話を聞いてあげてください。学校の教師などから「逃げ癖をつけると、まともな社会人になれない」などと言われるかもしれません。しかし、「学校がつらい」と感じる子たちの心は既に傷ついています。これ以上、傷を増やさないよう、安心できる居場所や信頼できる人間関係を少しずつ増やしていくことを目指してほしいと思います。
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